前回の記事では、AI時代で消えてしまうエンジニアの特徴と、その原因である職務遂行能力の低さについて考察しました。AI時代を生き抜くためには、スキルだけでなく職務遂行能力を高めることが重要だということも第一回、第二回、第三回で紹介しています。
では、職務遂行能力を高めるためには、どのような方法があるのでしょうか?
01.職務遂行能力の成長とは
職務遂行能力は、職務を遂行するための過去の行動によってのみ測定することができます。つまり、過去の職務遂行エピソードからその人がどのような行動を取ったかを分析することで、その人がどのような職務遂行能力を持っているかを評価していきます。
例えば主体性についてレベルアップしたいと思ったら、主体性について今自分がどのあたりにいるのかを知る必要があります。
レベル | 行動の特徴 |
---|---|
1 | 自発的に障害や反対に対して粘り強く取り組む。解決に向けて複数のステップを踏み、簡単には諦めない。たとえば、顧客から何度も断られても別の提案を考え続け、最終的に契約を獲得する。 |
2 | 自発的に現在の課題や機会に対応する。目の前の問題を認識し、迅速に行動を起こす。たとえば、顧客からの急な要望に対して即座に対応し、満足度を向上させる。 |
3 | 自発的に、危機的状況においても迅速かつ確固とした行動を取る。課題が自然に解決するのを待たずに、積極的に問題に立ち向かう。たとえば、重要なシステム障害が発生した際、即座に対応チームを編成し、復旧に取り組む。 |
4 | 自発的に2ヶ月先の状況を予測し、将来の課題を最小限に抑えるために、準備や計画を進める。たとえば、新製品発売に備えて市場調査を実施し、予想される顧客ニーズに対応する戦略を立てる。 |
5 | 自発的に3〜12ヶ月先の具体的な課題や機会を予測し、準備を進める。他者には見えていない問題を先取りして対策を講じる。たとえば、経済環境の変化を予測して製品ラインを見直し、需要に対応できる体制を整える。 |
もしあなたが「やろうと思えば1年後の準備だってできる」と思っていても、実際にそのような経験がないのならそれは「あなたは職務遂行上で1年後の準備はできていない」ということになり、そのレベルには達していないという評価になります。
自身の職務遂行能力を伸ばすためには、まずは自身の職務遂行能力がどのあたりなのかを正確に見極める必要があります。それは上長や、あるいは同僚からでないと見ることが難しいかもしれませんが、いちばん重要なのは自己認識です。できていないものを「できていない」と認めることが、成長のための一歩目になります。
職務遂行能力を成長させるためには、自身がいるレベルの次のレベルについての情報を知る必要があります。例えばあなたがレベル3だとすると、次にあなたが行うべきなのは将来的に起きるであろう課題について予測し、準備を進めることです。
このように、自身の次のレベルについての情報を知ることができれば、成長するために必要な職務遂行の経験がわかるようになってきます。
02.職務遂行能力のエンジニアリング
自己認識と次のレベルの認識ができたら、次はその目標を達成するために、実際の業務で次のレベルに沿った職務の遂行をする必要があります。
例えば主体性のレベル4を目指すなら「2ヶ月後の機能改修のために、機能改修の周辺のコードをリファクタリングしてリリースしておく」などが考えられるでしょう。これを実行することで、実際にあなたの主体性はレベル4に到達したとみなされます。
03.職務遂行能力の測定
職務遂行能力を測定するためには、過去の職務エピソードを聞く必要があります。これは、自己評価や他者評価、上司評価など、さまざまな方法で行うことができます。しかし、どの方法を選択するにしても、過去の行動に基づいて評価することが重要です。
弊社のプロダクト「HIREGATE」では、AIの質問によって職務遂行能力別に質問を出題し、深堀り質問等で過去の職務エピソードを聞くことで、高い精度で職務遂行能力を測定することができます。このような方法でも、職務遂行能力を測定することができるでしょう。
04.まとめ
職務遂行能力は、自身の職務遂行能力がどのレベルなのかを見極め、次のレベルを認識し、その目標を達成するために実際の業務で次のレベルに沿った職務の遂行を行うことで成長させることができます。職務遂行能力を上げて、AI時代に求められるエンジニアになっていきましょう。
弊社では、職務遂行能力の向上のために1on1を実施しています。HIREGATEを使って自分の職務遂行能力を確認し、上長と一緒にそれを見ながら次にどのような業務遂行をすればいいのかを話し合い、実際に業務に取り入れていくことで、職務遂行能力を高めていくことができます。
株式会社ムードでは、AI時代を生き抜くエンジニアの採用に力を入れています。自社製品のAI人材評価システム「HIREGATE」で培った人材育成のノウハウをもとにエンジニアの職務遂行能力を高めるためのプログラムを社内で実施しています。株式会社ムードにご興味がある方は、ぜひ株式会社ムードの採用情報をご覧ください。